「ヨーロッパへの窓」として築かれたロシアの美の都、サンクトペテルブルクに位置するエルミタージュ美術館。ロマノフ王朝歴代皇帝の壮麗な宮殿と300万点を超える所蔵作品が見事に調和した、世界有数な美術館です。女帝エカテリーナ2世が国家の威信をかけて美術品を収集したことに始まる同館のコレクションは、古代から現代まで幅広く、まさにロシアという大国によって編纂された「美の百科事典」ともいえる人類の遺産です。 本展覧会では、この膨大な所蔵品の中から、16世紀から20世紀の各時代を代表する 「顔」 ともいうべき秀作の数々の紹介です。なかでも注目は、マティスの最高傑作の一つ 《赤い部屋(赤のハーモニー)》 が、東京では約30年ぶりの来日となります。 |
会期: 2012 4/25(水)〜7/16(月・祝) 展覧会は終了しました。 休館日:毎週火曜日 開館時間:10:00から18:00まで ※金曜日は20:00まで。入場は閉館30分前まで 会場:国立新美術館 企画展示室2E 巡回展:[名古屋展] 2012/7/28〜9/30 名古屋市美術館 [京都展] 2012/10/10〜12/6 京都市美術館 |
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大エルミタージュ美術館展 開会式 (2012年4月24日 プレス内覧会) |
傑出した巨匠たちによる名画――ティツィアーノの《祝福するキリスト》、ルーベンスの《虹のある風景》、
ライト・オブ・ダービーの《外から見た鍛冶屋の光景》、マティスの《赤い部屋(赤のハーモニー)》、の名作 |
本展では、16世紀については、イタリア各地で活躍した芸術家に限定して作品を紹介し、17世紀は、主にネーデルランドとフランドルの芸術で構成した。18世紀は、フランス、イギリス、ドイツ、そしてイタリアの芸術家を網羅し、19世紀と20世紀初頭は新しい時代の芸術を紹介する。 |
展覧会構成 〜「プレスリリース」「大エルミタージュ展:カタログ」より抜粋文章の掲載です〜 |
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ティツィアーノに代表される16世紀盛期ルネサンスのヴェネツィア派絵画から、17世紀に活躍したルーベンスやレンブラント、18世紀フランスの女性画家ヴィジェ=ルブラン、イギリスの肖像画家レノルズ、19世紀ロマン派のドラクロワ、印象派のモネ、近代絵画の父セザンヌ、さらに20世紀初頭に活躍したマティス、ピカソにいたるまで、全5章をとおして83作家、89点の作品を展覧します。 |
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1. 16世紀 ルネサンス:人間の世紀 The 16th Century Renaissance: The Century of Humanism |
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・16世紀ルネッサンス芸術の息吹は、フィレンツェとローマを中心として成立したルネサンス絵画様式と共に、イタリア各地に伝播していく。本章は、この盛期ルネサンスの精華である、ヴェネツィア派の豊かな絵画世界の紹介です。 初期ルネサンスは15世紀初めのフィレンツェに花開いた―人間と神、美と心理、魂と肉体、キリスト教の信仰とギリシャ神話の異教の神々―古代や中世、近世のさまざまな異質な要素と文化を統合しようと試みた時代でもある。 ティツィアーノ・ヴェチェリオ 《 祝福するキリスト 》 1570年頃 油彩/カンヴァス 96 x 80cm ©Photo: The State Hermitage Museum, St. Petersburg, 2012 ヴェネツィアのルネサンス絵画はジョルジョーネとティツィアーノの個性に導かれる形で、ヴェネツィア派特有の彩色技法や肉感的な人体描写、深い情緒性を有した風景表現が完成の域に達する。 |
2. 17世紀 バロック:黄金の世紀 The 17th Century Baroque: The Golden Century |
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・17世紀イタリアで誕生のバロックは、ヨーロッパ各地に伝播した。「黄金の世紀」と呼ぶのは、本展出品作家の出身者すべてがルーベンス、レンブラントといった巨匠を次々と輩出した、オランダ、フランドルの美術でまさに両国は黄金の世紀であった。 バロックは、ルネサスの古典主義を受け継いだ、マニエリスムを乗り越えた。流動的でダイナミックにあふれる強い表現力はバロック美術ならではのものである。唯美主義ともいえるマニエリスムの閉鎖性とも一線を画している。 ペーテル・パウル・ルーベンス 《 虹のある風景 》 1632頃-1635年 油彩/カンヴァス(1869年に板より移し替え) 86 x 130cm ©Photo: The State Hermitage Museum, St. Petersburg, 2012 宗教画を含む歴史画が圧倒的な優位を占めていた他国と異なり、風俗画や肖像画、静物画や風景画といった多様なジャンルの作品が17世紀オランダ、フランドルの美術であった。 |
3. 18世紀 ロココと新古典派:革命の世紀 The 18th Century Rococo and Neoclassicism: The Century of Revolution |
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・18世紀イギリスの産業革命、アメリカ独立戦争、そして全ヨーロッパに革命の嵐を巻き起こしたフランス革命と続く。フランスにルイ15世と愛妾ポンパドゥール夫人の時代には、装飾性や官能性を強調した「ロココ」と呼ばれる優美な美術様式が流行した。 18世紀は、女性画家が活躍した時代でもある。ヴィジェ=ルブランは、王妃マリー・アントワネットをはじめとする王侯貴族をモデルに描いた華やかな肖像画で一世を風靡した。 ジョシュア・レノルズ 《 ウェヌスの帯を解くクピド 》 1788年 油彩/カンヴァス 127.5 x 101cm ©Photo: The State Hermitage Museum, St. Petersburg, 2012 貴族的なロココ趣味が全盛期を迎え爛熟していく一方で、風俗画家シメオン・シャルダンの作品には、平凡な市民の家庭生活に向けられた温かな眼差しが感じられる。 |
4. 19世紀 ロマン派からポスト印象派まで:進化する世紀 The 19th Century From Romanticism to Post-Impressionism: The Century of Evolution |
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・19世紀ロマン派を代表する画家ドラクロアは、美術の「近代」をもたらし、感覚に直接訴える色彩を重視した。後の印象派に影響を与えた。バルビゾン派の画家たちは、時刻と季節に伴って変化する光と大気への関心はそのまま印象派に引き継がれた。 新印象派とも呼ばれたスーラは、科学的な手法で、色彩現象を小さな色の点で 「点描法」 を編み出した。セザンヌも印象派を離れ、自然の幾何学的な構造の探究に向かった。 ウジェーヌ・ドラクロワ 《 馬に鞍をおくアラブ人 》 1855年 油彩/カンヴァス 56 x 47cm ©Photo: The State Hermitage Museum, St. Petersburg, 2012 1888年パリでナビ派が結成。ゴーギャンやセザンヌに触発され、大胆な色彩と装飾的な画面を特徴とするが、自然主義への反動で、人間の内面を追究する象徴派への傾倒が見られた。 |
5. 20世紀 マティスとその周辺:アヴァンギャルドの世紀 The 20th Century Matisse and the Artists around Him: The Age of the Avant-Garde |
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・マティス周辺にいたフォーヴィスムの画家たちも、原色によるフォーヴ(野獣)から、次第に作風を変化させ独自の画風を獲得していった。フォーヴィスムは20世紀の画家たちの出発点のひとつ、豊かな母体となった。 ピカソとブラックが中心となって展開したキュビスムは、色彩革命であったフォーヴィスムに対し形態の革命であり、複数の視点から対象を解体し、平面上で再構築するとともに、既存の価値観をも解体した。 アンリ・ルソー 《 ポルト・ド・ヴァンヴから見た市壁 》 1909年 油彩/カンヴァス 31 x 41cm ©Photo: The State Hermitage Museum, St. Petersburg, 2012 フォーヴィスムとキュビスム、マティスとピカソという二人の巨匠を中心に、「アヴァンギャルドの世紀」は展開し、ピカソの制作した 《アヴィニョンの娘たち》 の衝撃は、20世紀を経て現代へと向かう絵画の胎動であった。 |
エルミタージュ美術館 |
エルミタージュ美術館は世界文化の記念碑的遺産、ピョートル大帝からニコライ2世に至るロシア国家の歴史でもあります。
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―― エルミタージュ美術館 館長 ミハイル・ピオトロフスキー ―― |
…エルミタージュ美術館は、バロックや古典主義からロココ、新古典派、歴史主義に至るヨーロッパ様式による、ロシア建築の集大成でもあります。そして、ロシア文化の偉大なシンボルであり、ヨーロッパ文化を独自の方法で摂取し、咀嚼してきた歴史そのものであります。さらにエルミタージュは、芸術をこよなく愛した歴代の君主から、未来においてあまねく世に知られることになる品々を敏感に嗅ぎ分けたモスクワ商人に至るまで、ロシア美術蒐集家たちの記念碑でもあります。…エルミタージュというのは単に美術品を飾っているとこだけでなく、その形成の仕方も、もともと培われてきた宮殿、そこから発展してエルミタージュ美術館になっております。…エルミタージュ美術館を核として一つの都市を形成し、それがサンクトペテルブルクを巻き込んだ基幹都市にしていこうとする。大きい壮大な構想のもとに今後の発展があるものと考えています。……(国立新美術館は建築家黒川紀章さんがデザインの建物と聞いています。黒川紀章さんはサンクトペテルブルグのスタジアムを建築されて、今その建築が行われているところで…国立新美術館の建築との共通点を感じます。) |
お問合せ:ハローダイヤル 03-5777-8600 展覧会公式サイト:http://www.ntv.co.jp/ 主催:国立新美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、エルミタージュ美術館 後援:外務省、在日ロシア連邦大使館、ロシア連邦文化協力庁 協賛:光村印刷、日本興亜損保 特別協賛:大和ハウス工業 協力:フィンエアー、エールフランス航空、KLM オランダ航空、日本通運、JR東日本、 BSHテレ、シーエス日本、ラジオ日本、J-WAVE、文化放送、tvk |
参考資料:Press Release、「大エルミタージュ美術館展」カタログ他。 |
※掲載写真、撮影は、主催者の許可を得て行っております。 |
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